普段着に和服を取り入れて半年

はじめに断っておくと、以下はすべて男物の話である。

普段着に和服を取り入れて 1 ヶ月」を書いてから 5 ヶ月が過ぎた。その間、和服を着ること週 2 回のペースを維持している。秋から冬にかけて新たにそろえるものもあったので再びここに書き留める。

9 月半ばから 10 月半ばまでは、綿麻浴衣、襦袢代わりのスタンドカラーシャツ、肌着として半袖 T シャツという格好で過ごした。下はステテコ着用である。

10 月半ばともなるとそれでは肌寒くなってきたので、浴衣をやめてウール単長着 (先の記事で述べた古着) に替えた。寒さ対策にはまず首周りからということで、11 月くらいからはマフラーもするようになった。巻き方は後ろ結びだ。

11 月に入ってから長着とセットになっていたモスリン長襦袢を引っ張り出したのだが、屋外ではかえって寒く感じたのでスタンドカラーシャツに戻した。何が寒いかといえば袖口から入り込んでくる冷気である。先の記事に書いたように私は夏場でも冷房の効いた屋内では長袖を羽織るくらいで、二の腕に寒気があたるとどうもダメなのだ。夏場は常に長袖を羽織っている気分だったのが、冬場になると一転、常に半袖でいるような気分になってしまう。

その点、襦袢代わりに長袖スタンドカラーシャツを着れば、シャツの袖口で冷気がシャットアウトされるので、多少冷えた日でも快適に過ごせる。衿元が乱れていないかという心配も軽減する。もともと長襦袢よりも安く、入手しやすく、洗濯もしやすいだろうと選んだスタンドカラーシャツだが、なかなかどうして優れものであった。

また、木綿の着物もあれば秋・春に使えるかと、古着屋のネットショップで黒の木綿単長着を買った。しかし、実際に羽織ってみるとどうも僧衣のように見えてしまい、これは寝巻きにするしかないかなと思っている。洋服にせよ和服にせよ黒は難しいと痛感した。

11 月も半ばに差し掛かってくると、さすがに長着のままで外を歩くのがつらくなってくる。着物用のコートが必要かと悩んでいたが、たまたま街を歩いているときにきもの文化祭のポスターを見かけて行ってみたところ、フリーマーケットにとんびコートが出ていたので購入した。

とんびコートは腕をすっぽり覆う肩掛けがついているので、長襦袢着用時も袖口から冷気が入ることなく外を歩ける。古着ということでサイズは合っておらず、丈がだいぶ長いのだが、その分冷気も入りづらいし、新品のお値段を考えればこれで大満足だ。

コートを入手してからはウール単長着、モスリン長襦袢、綿 V ネック T シャツ、下にはステテコという組み合わせでいる。この時代屋内はどこも暖房が効いているので、袷でなく単でも普段過ごすのに問題はない。

肌着に使っているのはユニクロの綿 V ネックインナー T シャツだ。先の記事では油断すると衿元から覗いてしまうと書いたが、サイズが大きめのものを買い、着付けた後に襦袢の内側から手を入れ T シャツの襟をぐっと下げることで、その点は解決できた。半袖インナーなので肩が落ちていようと構わないという判断だ。万が一覗いてしまっても暗色の着物と違和感ないよう、色は黒を選んでいる。

冷え込みのきつい日は長襦袢タートルネックセーターに替え、ステテコの下にさらにヒートテックタイツをはいている。私の場合二の腕と同様太ももも冷えると具合が悪くなるので、和服のときは常にステテコ着用だ。

足袋は夏から同じストレッチ足袋を使い続けているのだが、冬場となるとさすがに厳しい。歩いていればまだ気が紛れるが、屋外で立ち止まると足先からどんどん体温を奪われていく。冬の足元はどうしたものだろうと思っていたところに「ヒート + ふぃっと」という足袋インナーと出会った。足袋の下にはくことで、ポカポカとまでは行かないまでも体温の奪われる感覚が劇的に軽減される。この時期の外出になくてはならないと存在となった。

帯結び

帯は最初こそ貝の口に結んでいたものの、椅子に座る機会が多いので出っ張らないほうがいいと片ばさみに替え、今はそれ一辺倒だ。

履物

履物は浴衣セット付属の下駄か、かかとのついたサンダルを使っていたが、10月ごろ、タイル敷きの歩道で浮き出たタイルに蹴つまづいた拍子に下駄の歯が欠けてしまった。そこで、店頭に浴衣やら足袋やらを並べていたお店に入り、「雪駄はありませんか」と尋ね、どういうものをと聞かれたので「街歩きに使えるような」と答えたところ、このあたりが安いでしょうと出された雪駄を購入し、以後はずっとそれを使っている。

私の場合は映画館にもよく行くので、下駄よりも音の小さい雪駄のほうが向いているのだろう。最初は鼻緒の人差し指横側にあたる部分が硬くて痛かったのだが、1 ヶ月も履いていれば慣れてしまった。下駄雪駄には左右がないそうなので、履くたびに左右を入れ替えている。

トイレ

座って用を足す際にはお腹をへこませて帯を持ち上げるが、問題はそれを戻すときだ。和服を着始めた当初は帯の上方から押し下げていたが、帯の下方から引き下げると着崩れしにくいことに気づいた。これは自分の中では結構大きな発見だった。

洗濯

先の記事に書いたように着物用洗濯ネットと中性洗剤を使い、洗濯機のドライコースで洗っている。洗うタイミングはすごく汗をかいたなと思ったときや、天下一品のラーメンを食べた後など、大体の頻度としては長着が 2 ヶ月に 1 回、長襦袢が 1 ヶ月に 1 回といった感じである。

足袋は洗濯ネットに入れて洋服類と一緒に洗い、裏返しにして干している。

裁縫

11 月半ばから使っているとんびコートであるが、気づいたら裾がほつれて布の端が垂れ下がってしまっていた。コートのほかの部分を見ても縫い目が見えず、どう縫ってあったのかさっぱりわからなかったが、「裾 縫い方」でググったところ千鳥がけというのが適しているようなので、似た色の糸を買ってきて縫いつけた。不慣れなもので縫い目の間隔も一定せず、140 cm ほどを縫い合わせるのに 1 時間かかった。

長襦袢も洗濯機での丸洗いのせいか裾がほつれたので「和裁 縫い方」でググり、こちらは三つ折りぐけで縫いつけた。しかしこれが難しく、120 cm ほどを縫い合わせるのに 2 時間を要した。

また、和服のまま横になって寝込んでしまったとき、寝返りを打った拍子に長着の後ろ身頃と袖の縫い目がビリッと音を立てて 5 cm ほどほつれてしまった。これには慌てたが破れたものは縫うしかないと、裏側から本ぐけで縫い合わせた。最初は縫い目の間隔を 6、7 mm くらいにしたのだが、隙間が見えるようだったので 3 mm くらいの間隔で重ねて縫った。

イベント

前述のきもの文化祭について調べるうちにキモノジャックというイベントのあることを知り出かけていったり、着付け講師をされている知人が古着屋巡りツアーを開くというので参加させてもらったりした。こうしたイベントで質問なり何なりすることで、男物の多い古着のお店だの、冬の足元には別珍の足袋や足袋カバーを使うだの、いろいろ教わった。

そうした場で周りを見渡すと、やはり袖口が冷えるのか、長袖 T シャツを着込んでいたり、女性だとアームウォーマーをしていることも多い。また、中華料理店で着物の女性がどこからともなく (懐から?) 手ぬぐいを取り出し、衿にはさんでナプキン代わりとしてたのには、これが着慣れた人の所作かと感心した。

訪れたお店

実際に足を運んだお店を以下に挙げる。

経費

先の記事より後にかかった費用は下表のとおり (送料は除く)。

雪駄
¥1,300
木綿単長着 (古着)
¥2,100
とんびコート (古着)
¥7,000
綿 V ネックインナー T シャツ (2 枚組)
¥990
縫い糸
¥178
角帯 (古着)
¥3,045
足袋インナー (2 足)
¥550×2
長襦袢 (古着)
¥4,200
木綿反物
¥9,000
¥28,913
先の記事との総計
¥50,829

これから

現在は着るのにかかる時間も 5 分ほどとなった。帯の長さ調整に手間取るともう 2、3 分かかってしまうので、しっかり長さの検討をつけられるようにしていきたい。

先の記事で麻の長襦袢がほしいと書いた後、ネットショップで裄・丈が気持ち長め、洗濯で 1、2 cm 縮めばちょうどよくなるくらいの麻長襦袢があったので買ってみた。もう少し暖かくなったら実際に着てみたい。

春になれば木綿がいいのではと思って古着を探していたが、木綿で男物となると古着ではそもそも数がなく、いっそ反物から仕立ててはと勧められた柄が一目で気に入るものだったので、思い切って誂えに挑戦してみることにした。仕立ては知人に紹介していただいた和裁士の方に頼むつもりでいる。

今後も古着であれ誂えであれ自宅の洗濯機で洗えることを第一とし、週 2 回、平日 1 回休日 1 回のペースを習慣化して和服を着ていきたい。